製造した部品や治具が、変形してしまう、破損してしまうというトラブルは、工場や現場で良く起こるものです。もし、使っている素材が鉄を主成分とした鋼である場合、熱処理(焼き入れや焼き戻し)を上手に活用することによって、強度を改善できる可能性があります。
鉄(鋼)が材料として広く利用される理由の一つに、埋蔵量、生産量が多く、他の金属に比べて取り回しがしやすいということが挙げられますが、もう一つの大きな特徴として、熱処理によってかなり自在に硬度を変えられるということが挙げられます。
材料の硬さというのは加工のしやすさに非常に大きく影響します。特に切削加工の分野では、硬い材料だと加工時間が数倍になることも多く、時間がかかればかかるほどコストとして跳ね返ってきます。したがって、なるべく硬くない状態の材料を削りたいと考えます。しかし、十分な硬さがないと部品に大きな力がかかった際に曲がったり破損してしまったりと、必要な機能を果たせなくなります。
そこで、必要な形状に加工をした後に熱処理を施し、実際の使用に耐えうる硬度にする方法が取られます。ほとんどの場合、熱処理は元々硬度の高い材料を切削するよりも低コストで施すことができるため、様々な部品で活用されています。
次回以降は実際に熱処理を活用する際のポイントについてより詳しく解説します。
治工具・設備の開発、設計
試作、量産まで。
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