こんにちは、治具・工具・金属製品開発の山城です。
今回はアルミの中で最高強度を誇るA7075について、実際どうなのよというところを含めて詳しく解説していきます。A7075というと、すごい強度があるから、材料も加工も高そう!と感じている方もいらっしゃるかもしれません。確かにそういう側面と、使い方を工夫すればそこまでコストが上がるわけではないという点をできるだけわかりやすく紹介していきます。
そして、実際どういうときにA7075を使うのが適切なのかについても、メリット・デメリット、具体例を踏まえて紹介します。
この記事を読んでA7075についてめちゃくちゃ詳しくなっちゃってください!
A7075の特徴
高強度
A7075はアルミ合金の中で最も高い強度を持っています。引っ張り強さがS45C鋼に匹敵するため、機械部品や航空機部品など高強度が求められる用途に最適です。治具、工具、金属製品の開発においても、軽さと高強度が求められる場合に有効です。
加工性
切削加工費は一般的なアルミ合金と同じ程度であり、鉄鋼材料のSS400やS45Cよりも加工が容易です。これにより、大量の切削加工が必要な場合でもコストを抑えることができます。
耐食性
鉄系の材料よりも耐食性が高いため、腐食が心配される環境でも使用することができます。ただし、強度の低いアルミ材料よりは耐食性が低い点に注意が必要です。
材料の形状
A7075は、丸棒や板材としてさまざまなサイズで入手可能です。丸棒はφ3mmからφ300mmまで、板材は3mmから300mmまでの厚さがあり、さまざまな用途に対応できます。ただし、Lアングルやフラットバーの形状は存在しないため、これらの形状が必要な場合は棒や板から切り出す必要があります。
軽量
高強度かつ軽量であるため、SS400やS45Cの代替として使用することで、全体の重量を削減することができます。これにより、機械や構造物の効率性や性能を向上させることが可能です。
A7075のメリット
高強度
A7075の最大の特徴である高強度は、多くの工業製品や航空機部品において非常に重要なメリットです。この強度により、軽量化と強度の両立が求められる場面で特に有効です。
加工性の良さ
一般的なアルミ合金と同程度の加工性を持っており、切削加工が容易です。これにより、複雑な形状の部品製造が可能となります。
寸法の多様性
丸棒や板材など、多様な形状とサイズで入手可能なため、設計の自由度が高いです。
切削加工がしやすい
切削加工費が他のアルミと同程度であり、コストパフォーマンスに優れています。これにより、大量生産時のコスト削減が可能です。
A7075のデメリット
溶接の難しさ
A7075は溶接が難しい材料です。対応できる業者が限られており、溶接品質の保証が難しいことがあります。また、溶接コストが高くなる傾向があります。
材料費の高さ
最も一般的に使われて広く流通しているA5052と比べて、A7075の材料費は約2倍です。このため、コストを重視する場合には慎重な検討が必要です。
まとめ
A7075アルミ合金は、その優れた強度と軽量性、耐食性、加工性の良さから、多くの産業分野で重宝されています。特に、航空機や自動車、スポーツ用品など、強度と軽量化が求められる製品において、その特性が最大限に活かされます。しかし、溶接の難しさや材料費の高さといったデメリットも存在するため、用途や製造プロセスを考慮した上での適切な選定が重要です。
A7075を使用する具体的なイメージはできましたか?「もっと詳しく具体的な活用方法を相談したい」、「部品の加工や治具の製作、製品の開発について相談したい」と思ったらお気軽にご相談くださいね。
山城製作所ではアルミの中で最高強度を誇るA7075をはじめA5052やA6063、鉄鋼材料、ステンレス等多数の製作実績があります。「図面がないけど大丈夫かな」、「こんなもの作るのって可能なのかな」と思ったらいつでも気軽にご連絡ください。