治具の製作に使える金属は、非常に多くの種類がありますが、加工のしやすさやコストを考えると現実的には数種類に絞られます。
その中でも特に実用的な鉄、ステンレス、アルミについて、これらの特徴による使い分け方を紹介します。
材料費を安くしたいとき、硬度を上げたいとき、磁石に付くようにしたいときは鉄
他のコラムでも紹介しているように、鉄系の材料は金属の中で最も安く、熱処理による硬度の調整ができ、磁石に付きます。
これらの特徴を活用したい場合は鉄を選択しましょう。
ただし、材料の価格が安いといっても、治具に使う板などは面が仕上がったものを使う場合も多いので、そのような材料の場合はアルミの方が安くなることもあります。
軽くしたい時はアルミ
アルミは鉄やステンレスのおよそ3分の1の軽さなので、人が持つ治具を作る場合や大型の治具を軽くしたいときに使えます。
材料費も、6面を削ったものを使うのであれば鉄とほとんど変わりません。
ただし、鉄やステンレスと比べるとかなり柔らかいので、硬いものを繰り返し脱着したりするような用途には向いていません。
耐食性が必要ならステンレス
水を使う環境など、耐食性が必要になる場合はまずステンレスを検討しましょう。
アルミや鉄でも表面処理をすることによって耐食性を向上させることはできます。
しかしほとんどの場合ステンレスの方が耐食性が高く、膜厚の管理などを考える必要がなく工程を減らすことができます。
ステンレスの材料費は鉄やアルミと比べて5倍から10倍になることもあるので、材料費が治具のコスト全体で大きな比率を占める場合は他の材料の検討も必要でしょう。
治具を製作するときに使える代表的な金属を簡単に紹介しましたが、より詳しい解説は改めてしたいと思います。