どちらも多く流通しているオーステナイト系のステンレスであるSUS304とSUS316、今回はこの二つをどのように使い分けるか、具体的に説明したいと思います。
目次
耐食性で使い分ける
SUS304とSUS316の基本的な成分はほとんど同じですが、SUS316はより耐食性を高めるために、モリブデンが添加されています。
SUS304とSUS316の価格と加工性
SUS316は、モリブデンが添加されている分、SUS304より材料費が高くなります。
具体的には、3割から5割程度、SUS316の方が高額です。
また切削加工についてもSUS316の方が難しいので、同様に3割から5割程度高額になります。
溶接はどちらもそれほど難しくないので、加工費はほとんど変わりません。
水道水等に触れる程度であればSUS304
一般的な水道水のように、塩化物がそれほど多く含まれない環境では、SUS304を使用して問題ありません。
土中に埋設する場合は、環境が重要になる
土中に埋設するステンレス鋼管や継ぎ手などは、SUS304で十分な耐食性を得られる場合がほとんどですが、沖縄などの沿岸部、塩化物を含んだ融雪剤が撒かれる地域などは注意が必要です。
沿岸部・海水に触れる環境ではSUS316
海水ポンプや船舶部品といった、塩化物に直接影響を受ける環境で使用する場合、SUS304は向いていません。
SUS316が使用される場合も多くありますが、確実に腐食を避けられるとは限りません。
したがってより厳しい環境ではSUS316以上の耐食性を持つSUS312や、ステンレス以上の耐食性を持つハステロイなどの使用を検討しましょう。