アルミや鉄などで治具を製作するとき、耐食性向上のためにアルマイトやメッキなどを施すことがあると思います。
それらは必要なことですが、精密な治具の表面処理をするときに気を付けておかないといけないことがあります。
それは、寸法の変化を考慮に入れて表面処理を選択するということです。
0.05mm以下のような精密なはめあいを必要とする箇所の場合、何も考えずに処理をしてしまうと組み立てられなくなってしまう場合があります。
例えば膜厚0.01㎜のメッキをしたとして、0.01㎜程度ならほとんど寸法に影響がないように見えますが、軸であれば直径で0.02㎜大きくなります。
また、その軸をはめる穴の方にも同様に表面処理をするとしたら、穴の直径も0.02㎜小さくなります。
そうすると合計で0.04㎜軸と穴の寸法差が変化することになります。もし、機械での加工が終わったときの寸法差が0.03㎜だったとしたら、穴に軸が入らなくなってしまいます。
このように、膜厚だけで考えると大した変化が起こらないように見えて、はめあいとして考えると大きな寸法変化が生まれる場合があります。
精密な治具に表面処理を施すときは、合計でどの程度寸法変化が起こるのか事前に良く計算してから設計・製作するようにしましょう。