治工具、装置の製作や現場の改善の依頼で、ボール盤作業を自動化、簡略化したいというご相談をいただくことがよくあります。大規模な機械や装置でなくても、ボール盤でいろいろな作業をするのはよくあることです。特に、量産部品のちょっとした穴あけ、面取りなどは意外と手間がかかり、常に人が張り付いていないとできない作業であることも多く、ボール盤の工程を改善するだけで飛躍的に生産性が向上したという声をいただくこともあります。
今回はボール盤での作業について考えながら、工場内で改善できるポイントをお伝えしたいと思います。
ボール盤での加工は細かい作業が多いですが、量産品の決まった作業などであれば、自動化、省力化の効果は大きくなります。そのために必要となるのは、以下のような要素です。
1.同じ部品を決まった場所に固定できる治具
トグルクランプやエアシリンダーなどを用いて、決まった場所に部品を固定できる治具が必要になります。また、常に同じ面を刃物側に向ける必要があるため、どのように搬送するかも検討する必要があります。
2.部品を間欠的に搬送できるシューターやコンベア
ボール盤での加工に合わせて、部品を供給できるコンベアなどを用意する必要があります。同じ向きで1個ずつ送ることができるように設計します。
3.部品のセットや加工後の排出ができているか確認するためのセンサー
加工がうまくできなかった場合や、部品のセットができなかった場合にアラームを出して非常停止などをできるようにするためのセンサーを設置します。
主にこれらの3つの要素を配置できる部品であれば、ボール盤作業をかなりの部分で自動化できる可能性が高くなり、熟練の職人がより付加価値の高い業務に従事できるようになります。単純に見えるボール盤作業も一度見直してみてはいかがでしょうか。