代表的な鉄鋼材料であるSS400ですが、治具や部品で使うには重たい、あるいはもう少しコストダウンできないかと考えることがあるかと思います。そんな時に候補に入れたいのがアルミのA2017。今回はその理由について解説したいと思います。
目次
A2017はSS400と同程度の強度を持つ
A2017はアルミ材料でありながら、SS400と同程度の強度を持ちます。それでいて重量は鉄の約1/3、腐食にも強いことを考えると積極的に代替の材料として考えない手はありません。
SS400とA2017の材料代は同程度
材料代は材料の形状にもよりますが、SS400と比べてアルミの方が高いかと思いきやA2017で同程度です。材料そのものの費用はSS400の方が安いのですが、加工しやすい形状にするのにもコストがかかるため、それを考慮するとほとんど変わらないか、A2017だと逆に安くなるという現象が起こります。
特に、アルミ材料の場合、精度を保ちつつ低コストで仕上げることができるファインカットという加工方法が使えます。ファインカットでA2017の材料取りをした場合、大きさや個数によってはSS400より安くなります。
切削加工費はアルミの方が安い
切削加工費に関しては、基本的にアルミの方が安くなります。これはアルミという材質そのものが削りやすいため、SS400と比べて7割程度の価格で作れます。多くの部品や治具の場合、加工が複雑になればなるほど材料代に対して加工費のコストは上がるので、ある程度の加工が必要になるものは、全体のコストとして割高になります。
表面処理は、内容によって変わってくるが、加工費ほどの影響はない場合がほとんど
表面処理は、処理内容によって変わってきますが、アルミの方が若干高い程度です。総コストの1割にも満たない場合がほとんどです。
総コストに対しての表面処理費は大きくない場合がほとんどのため、材料費と加工費でコストダウンが見込める場合は切り替えを積極的に検討していって良いでしょう。
また、アルミは鉄より腐食に強いので、多少水がかかることがある程度の環境であれば表面処理そのものが必要なくなる可能性も十分にあります。
注意点、溶接には向かない
注意点としてA2017は溶接に向かないことが挙げられます。まったく溶接できないというわけではないですが、溶接後の割れなどのトラブルの保証ができないため、溶接できないと考えたほうが良いでしょう。
SS400と比べてA2017の方が軽い、材料費は同じか安い、加工費も安い、腐食に強いといったことを考えると、A2017が優れた代替材料であると考えることができるでしょう。
大まかには、上記のようなポイントで判断していただいて間違いないかと思いますが、もしよくわからない、結局のところどうなのかわからないといった場合はお気軽にご相談ください。