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3分でわかるステンレス加工の材料選択。覚えるのは4種類だけ!

ステンレスの材種を調べると、ものすごい数の種類があることがわかります。いろいろと調べたけれど、結局自分が使う用途に適しているのはどれなのかよくわからなくなってしまったという経験をお持ちの方もいるのではないでしょうか。

でも、実は特殊な用途でもない限りステンレスの材料選択は4種類覚えていればまず問題ありません。急いでいる方は下の4種類の材種と、それぞれの特徴をまとめた表だけ覚えて、加工業者や材料業者に相談してみましょう。

使うのは4種類だけ、SUS303、SUS304、SUS316、SUS430

ネットや書籍などでステンレスの種類を調べると、まずその多さに驚くことでしょう。そして、分子の成り立ちからオーステナイト系、フェライト系などの分類の説明があり、自分が欲しい種類がどれなのか益々わからなくなってしまったということもあるかもしれません。
しかし、難しく考える必要はありません。一般的な使い方で必要になるのは番号が小さい順にSUS303、SUS304、SUS316、SUS430だけです。この4種類の特徴だけ頭に入れて、用途によって使い分けてください。

表で一目瞭然。材料費、耐食性、溶接性、切削性、磁性で使い分ける

上記4種類の素材を使い分けるポイントはたったの5つです。材料費、耐食性(錆びにくさ)、切削性、溶接性、磁性(磁石に着くかどうか)だけ、簡単ですよね。どのような使い方をするのか、どのような加工が必要なのかを検討して、向いている素材を選びましょう。
では、それぞれ選ぶ理由と4種類の特徴について詳しく解説していきます。

 

 

材種 材料費 耐食性 切削性 溶接性 磁性
SUS303 × ×
SUS304 × ×
SUS316 × × ×
SUS430

具体的な使い分けの仕方

詳しい説明は後半でしますが、4種類それぞれを選ぶポイントは次のように覚えましょう。溶接をするときはSUS304、切削加工をするならSUS303、高い耐食性が必要ならSUS316、材料コストを押さえたくて溶接が必要ないならSUS430。それでは順番に説明していきます。

溶接をするならこれ、耐食性も申し分ないSUS304

SUS304はステンレスの中で最も多く流通している代表的な素材です。ニッケルが含まれており、ステンレスの全材種の中でも比較的耐食性の高い部類になります。
棒やプレートなどの材料のバリエーションも豊富で、比較的低コストで様々なサイズの材料を入手できます。
また溶接も比較的しやすく、板金加工業者ならほとんどのところで対応してもらえるでしょう。
切削加工については、粘り気が強い上に加工硬化という厄介な現象を起こすので、簡単ではありません。切削が必要な場合は下でも紹介しているように、SUS304に硫黄等を添加して削りやすくしたSUS303を選択しましょう。

より高い耐食性を求めるならSUS316

沿岸部で常に塩分にさらされる地域での使用や、医療機器など、SUS304より更に高い耐食性が求められる場合はSUS316を選択しましょう。モリブデンを添加することにより腐食に強くなっています。
ただし、材料費はSUS304より高く、切削性も悪くなります。したがって加工まで含めた全体のコストは、今回紹介している代表的なステンレスの中で最も高くなります。溶接は比較的しやすいので、材料の大きくない板金加工では積極的に使用を検討しても良いでしょう。

切削加工をするならSUS303

切削加工をする場合は、SUS303を選びましょう。SUS303はSUS304を削りやすく改良したもので、代表的な成分はあまり変わりませんが、削りやすくするために硫黄などが含まれています。
材料代はその分若干高くなりますが、加工費用のコストダウンでほとんどカバーできてしまいます。特に細くて深い穴や深い溝、深いネジ穴など加工内容が難しくなればなるほどSUS304との差が大きくなります。難しい加工形状の場合はできる限りSUS303を選択しましょう。
耐食性や溶接性は良くないので、それらが求められる場合はSUS304を選択しましょう。また、硫黄が含まれるため、環境に配慮する必要がある場合は、SUS303を選択できない場合があります。

材料代を安くしたい時はSUS430

曲げ加工やパンチ穴加工のみで、切削加工がない場合は、まずSUS430を検討しましょう。台所のシンクなどにも使われているので、SUS304よりは劣りますが耐食性も悪くはありません。
また、磁性があり磁石に着くので、扉の開閉などで固定したい時はこちらを選択しましょう。
溶接も可能ですが、着きにくく割れなどのトラブルが起こりやすいので、特別な場合を除いてSUS304をお勧めします。

迷ったときは

上記の使い分けで、向いていない材料を選択せざるを得ない場合は、材料業者や加工業者に問い合わせてみましょう。基本を押さえていればほとんどの場合相談に乗ってくれます。

例えば、切削加工が必要で高い耐食性も同時に必要な場合は、SUS304かSUS316を選択しなければなりません。これらの素材であっても、加工の難易度がそれほど高くなければ加工コストが極端に高くなる、加工不可能と断られるといったリスクを減らすことができます。

まとめ

いかがでしたか。何種類もあるステンレスの使い分けを覚えるとなると、気が重くなりますが、4種類の使い分けを覚えるだけなら簡単ですよね。もちろん他の材種も用途によって使い方があり、後々設計などで必要になってくることはあるでしょう。
例えばより耐食性が必要になったらどの材種を選べば良いのか、熱処理をして硬度を上げて使用したい場合はどうすれば良いかなど、上記4種類で対応できない新たな問題が出てきたときは、必要に応じて別の材料を選択すれば良いでしょう。
上記4種類以外の材種は取り扱いがあまり多くないこともあり、そもそも取り扱いがない業者が多かったり、材料コストが比較にならないぐらい高かったりします。
これらの材種を、用途によって使い分けた方が良いと知っているだけでも、金属加工業者に相談するときのアドバンテージになります。

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