時々SS400って焼き入れできますかという質問を頂きます。また、図面にそのように書いてある場合もあります。実はSS400は低炭素鋼ですが、焼き入れは可能です。ただし、できるのは、表面に炭素を浸透させて硬くする浸炭焼き入れのみです。
今回は、SS400に焼き入れする場合の注意点について紹介します。
上記で紹介しているように、SS400で可能なのは浸炭焼き入れのみです。硬化するのは表面から1mm以下の範囲になります。表面を硬くして傷つかないようにしたい。摩耗に強くしたい。滑りを良くしたい。
目次
棒全体を曲がりに強くしたいといった場合にはあまり使えない
あくまでも表面の薄い部分が硬くなるだけですので、全体を硬くすることはできません。
逆に、中まで硬くなりすぎるともろくなってしまう場合があるので、表面の硬さを実現しつつ内部は粘り強くしたいという場合には浸炭焼き入れは向いています。
焼き入れ自体は可能ですが、できるのは浸炭焼き入れのみです。
浸炭焼き入れについて簡単に説明すると、鉄の表面に炭素を浸透させて、その部分に焼きを入れる方法です。
浸炭焼き入れの費用感
材料の大きさにもよりますが、手で持てるサイズ、重量感のものであれば1000円以下から5000円程度の範囲で収まるでしょう。
他の材料との比較を考えてみる
同じような材料で他に焼き入れできる素材とはどのように変わるのか。SS400の最大の特徴は材料費が安いことです。焼き入れできる代表的な鉄鋼材料で言うとS50CでSS400の約1.5倍、SCM440で約2倍にもなります。
内部まで硬くする必要があるような用途の場合は上記の材料を選定する必要がありますが、あくまで表面のみ硬くなれば良いということであればSS400の焼き入れを検討してみても良いのではないでしょうか。
いかがでしたでしょうか。浸炭焼き入れという方法であれば、SS400にも焼き入れできるということがわかったかと思います。内部まで硬くならなくても良い、表面を傷つきにくくしたり摩耗に強くしたいという場合は、この方法を検討してみてください。